当社では、歯科医院に加え、歯科技工所のコンサルタントも実施しています。
本日は歯科技工所についてお伝えしたいと思います。
2024年現在、東北地方では1,000軒近くの技工所があります。一人で経営している歯科技工所が約70%、2名以上が約30%となっています(日本歯科技工士会公表)。
デジタル時代に突入し、歯科医院ではDX化が進み、印象採得もデジタルにシフトする流れとなっている中、歯科技工業界では、技工士数は減少し、団塊世代の引退・廃業で先行きの不透明感は否めない状況になっています。
ここで、個人事業を営んでいる歯科技工所の平均売上高はどれくらいでしょうか?
全国保険医団体連合会の調査結果によると、法人形態を除いた小規模な個人事業主として経営を行っている歯科技工所の年間売上金額は、平均873万円となっています。原価率が20%の歯科技工所だとすると粗利は698万円となり、経営が楽とはいえません。そんな中、インボイス制度による実質的な増税に加え、DX化に伴うデジタル機器への投資、借入金の返済、保守料金やライセンス料金の支払い,歯科材料や光熱費の高騰と、安価な技工単価で経営してきた技工所にとっては非常に経営が難しくなっています。
逆境ともいえる歯科技工所経営ですが、今後は一般企業と同じような経営分析を取り入れていくべきだと考えています。
無駄な支出がないか、キャッシュフローを分析・把握しているか、将来にわたる事業計画は策定しているか、自費と保険のパーセンテージ比率は適正か、デジタル機器の導入できるか、できるとすればどれほど効率が上げるか、人を採用・育成できる環境作りができるか、単価を上げられるほど技術力が担保されているかなどを考える必要があります。
診療報酬での技工物の点数もわからない、価格の決め方は感覚的だったり周りに合わせるだけ、社会人としてのマナーが身についていない、営業の結果が出ていない、経営数字の見方がわからない、このような歯科技工所は淘汰されていくことになるでしょう。
なんとなく注文が入り、技工物を作ればいいだけの時代ではなくなりました。
弊社のお客さまの殆どが年商7,000万以上ですが、初めからうまく経営計画を進められたわけではありません。
月100万ほどの売上からコツコツとお客様を増やしながら技術の経験を積み、申請できる補助金や助成金を活用して努力をなさって現体制を構築してきたお客様ばかりです。
気がついたら勇気を持って一歩踏み出してみる。固定観念を捨てる。思い込みをやめる。
周りの同業者の意見も得るものはありますが、業界に偏った意見になることが多々あります。
ただただ家族のために、借金返済のために、自分さえ良ければとのお考えで経営をしていたとしたら危険信号です。元気なうちは良いのですが、人はいずれは限界がやって来ます。
その時にフォローしてくれる同業者はいますか?
入院中、仕事を信頼して預けられる同業者はいますか?
個人事業主であるからこそ、病気や長期入院となった時のリスクまで考える必要があります。
気がついた時に専門家に勇気をもって相談してみてください。
出口戦略という言葉もよく聞くようになりましたが、後継ぎがいなければ、人にバトンを渡すことで医療に欠かせない歯科技工の未来を次の世代に渡すことも考えてみてはどうでしょうか?